任意整理

任意整理
(1) 任意整理の選択
 自己破産は借金が全て帳消しになりますが、自宅などの処分をしなくてはならないというデメリットもあります。「とにかく借金を無くしたい!」というのであれば自己破産が一番ですが、借金の金額や借入件数が比較的少なく、「自己破産をするほどではないけれど、毎月の返済額を減らしたい」と思っている方なら任意整理の方がよりよい選択です。

(2) 任意整理の3ステップ
ア 取引開始時にさかのぼって、利息制限法の上限金利(15~20%)で再計算すること(引き直し計算)により、借金を減額した上で
イ 原則として将来の利息をカットし、元本のみを3年程度の分割で返済する内容の和解を各貸金業者と結び
ウ 以後、和解内容にしたがって返済することで、借金を整理する手続

 任意整理は、いわゆる「グレーゾーン金利」で払いすぎた利息分を元本に充当することで、法律上返済しなければならない「本当の債務額」を確定する手続です。

(3) 任意整理のメリット
① 借金が減額される
 任意整理では、利息制限法の上限金利(15~20%)に基づき、取引開始時にさかのぼって再計算し(引き直し計算)、現在の「本当の債務額」を明らかにします。引き直し計算では、いわゆる「グレーゾーン金利」で払い過ぎていた利息分を元本に充当させます。その結果、多くの場合借金が減額されることになります。
 また、払いすぎていた利息分を元本に充当して再計算した結果、既に元本を超えて返済しているという場合があります。この払いすぎたお金のことを「過払い金」といい、貸金業者に対して、過払い金の返還を請求することができます。

② 利息をカットできる
 任意整理をすれば、原則として、将来の利息や遅延損害金は全額カットされます。そのため、今後の生活の見通しがつきやすく、精神的な余裕も生まれ、また、月々の返済額も、生活に支障のない範囲に減額することが可能です。
これが任意整理の最大のメリットです。

③ 即日、返済がストップします
 当事務所では、どの債務整理手続きであっても、皆さまからご依頼をお受けした即日中に、各債権者に対し、「受任通知」と呼ばれる書面を発送します。
 以後は、毎月の返済をストップしていただいて構いません。また、債権者からの借金の催促もピタッと止まります。

④ スピード解決が可能
 任意整理は、弁護士が、裁判所を通さずに、各債権者と直接交渉することにより借金問題を解決していきますので、スピード解決が可能です。
 また、自己破産や民事再生のように裁判所を通す手続ではないため、裁判所に提出する書類の作成や、裁判所への出頭の必要もなく、官報に氏名が記載されることもありません。

⑤ 無理なく返済できる
 借金が減額され、利息が無くなれば、それだけで借金の負担は大きく減ります。
 任意整理の場合、借金の残額を、3年を目安(金額によっては5年程度)に返済すれば良いので、現在多額の返済を強いられている人でも、無理なく返済し完済することができます。

⑥ その他のメリット
 任意整理では、自己破産と異なり、財産の処分や、特定の職業につけなくなることも、一切ありません。
 また、自己破産や民事再生と異なり、例えば保証人がついている借金や自動車ローンについては、整理しないでこれまでどおりの返済を続け、その他の借金のみを整理する、というような柔軟な対応が可能です。

(4) 任意整理のデメリット
① クレジットカードやローンが組めなくなる
任意整理をすると、およそ7年間、クレジットカードやローンが組めなくなります。これが唯一のデメリットといってもよいでしょう。

② 残債務額が大きすぎると適用されない
 正しい利息で引き直し計算して債務額を減額し、さらに利息をカットしても、3年~5年で分割返済できないほど残債務額が大きい場合には、任意整理は困難といえます。その場合には、自己破産や個人再生を検討することをおすすめします。

 自己破産、個人再生、任意整理のうち、どれが最善な策であるかを弁護士が一緒に考え、アドバイスさせていただきますので、お気軽にご相談ください。



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